電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)

EPMA


装置概要

電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)とは?

EPMAとは電子線を固体試料の表面の微小領域(~2ミクロン)に照射し、照射体積から生ずる特性X線を測定することで、精密な化学分析を行う装置である。本装置(JEOL JXA 8900)は電子線発生部分(タングステンフィラメント)、電子線加速・収束レンズ、およびX線・電子線検出器類から構成される。X線検出器として5台の波長分散型X線分光器(WDS)および1台のエネルギー分散型X線分光器(EDS)を備えており、ホウ素からプルトニウムまで100(ppm)を下限とする検出感度での高精度な定量分析あるいは高速な二次元マッピングを行うことができる。また本装置は電子線偏向コイルと二次電子検出器および反射電子検出器を備えており、通常のSEM (scanning electron microscope)像を得ることも可能である。EPMAは固体の試料をほぼ非破壊かつ高精度で分析することが可能であり、現在使用されている機器化学分析法のなかで最も標準的なものである。

特性X線とは?

原子核に近い軌道電子が外部よりエネルギーを得て外に飛び出し、できた空孔に外側の軌道にある電子が遷移する際、この2つの軌道エネルギーの差が電磁波として放出されるもの。電子の電離は,高エネルギーの電子やイオンの衝撃,十分なエネルギーをもったX線照射などでおこる。特性X線のエネルギーは元素に固有のものであり通常は離散スペクトルを示す。電子軌道は原子核に近いものからK,L,M,N,…と名づけらており、その波数は原子番号に従って系統的に変化するため元素の同定、分析に用いることができる。

WDSとEDSの違いは?

エネルギー分散型(EDS, Energy Dispersive Spectroscopy) X線分光器は、半導体を用いることで光子のエネルギーを分別するのに対し、波長分散型(WDS, Wave Dispersive Spectroscopy) X線分光器は湾曲単結晶モノクロメータを用いることで波長を分別する。EDSは同時多元素分析が可能であるが、そのエネルギー分解能や計数限界(単位時間当たりの信号処理能力)は高くない。一方、WDSは波長分解能が高く、軽元素から重元素まで高感度で測定できるが、一つのチャンネルで一つの元素を測定する必要がある。

測定試料について

測定試料は固体物質であり、表面が鏡面研磨されている必要がある。導電性のない試料については事前に炭素などで蒸着しておく必要がある。また基本的に30×50×1.5mmあるいはφ25×1.5mm程度のスライドガラス上に固定する必要がある。定量分析に際して、特殊な元素を測定する場合は濃度既知の標準物質を用意する必要がある。

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装置仕様

1. X線分光器(WDS)
1Ch 2Ch 3Ch 4Ch 5Ch
1 TAP TAP PET PET PET
2 LDE1 LDE2 LIFH LIF LIF
2. X線分光器(EDS)
3. 電子光学系
4. 光学顕微鏡
5. 試料ステージ
6. 試料ホルダ
7. 走査像
8. コンピュータシステム

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