電子スピン共鳴装置(ESR2)

装置概要

1.ESRの原理

ESRとは電子スピン共鳴(Elecrton Spin Resonance)の略です。

常磁性物質または不対電子を持ったラジカルは原子内の電子数が奇数個ととなるため、電子スピンが存在します。電子スピンを含む試料に強い磁場を与えると、磁場方向にスピンが向きを変えます。(ゼーマン分裂)一部のスピンは、磁場に平行(Eα=-1/2gβH0)に、一部のスピンは磁場と逆平行(Eα=+1/2gβH0)になります。前者のスピンの方が安定で、確率的に若干多く存在します。前者と後者のスピンのエネルギー差(△E=gβH0)は磁場の強さ(H0)により変化しますが、マイクロ波のエネルギーのオーダーです。したがって、前者から後者のスピンに向きを変えるのに必要なエネルギーを(マイクロ波を)試料に照射すると、共鳴がおこり、入射したマイクロ波が吸収されます。共鳴が起こる磁場H0で吸収が起こり、マイクロ波の強度は極小値を持ちます。ESRの信号はマイクロ波の強度の磁場に関する微分値として得られ、ESRシグナルとなります。
吸収が起こるときの、周波数、磁場の強さを測定すると、電子スピンの状態(不対電子の状態)がわかります。また吸収の度合いを測定すると、電子スピンの濃度が求められます。

2.ESRから何がわかるか。不対電子の有無およびそれらの定量

装置仕様

温度可変装置:液体ヘリウムを利用することにより4.2K~室温 までの温度変化測定が可能です。ただし液体ヘリウムは利用者各自で 用意してください。

使用上の注意


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