極低温部門(旧 低温センター)の液化機の歴史

神戸大学の低温施設の液化機は、理学部の極低温実験室として1964(昭和39)年に窒素液化機、1967(昭和42)年にヘリウム・水素液化 機が導入されたのが始まりだった。故神田貞之助教授が科学研究費で購入されたものである。それ以前は、山本惠一元低温センター長によると、毎朝、10リッ トルのデュワーをパプリカ(当時流行の小型車)に積んで、神戸製鋼所まで液体窒素を汲みに行っていたそうだ。


1967(昭和42)年3月~1975(昭和50)年3月

ヘリウム・水素液化機
高圧ガス工業K.K. :
液化能力 : 4L/h
最初に導入された液化機は、窒素液化機で液体窒素(77K)を製造し、ヘリウム・水素液化機に充填・減圧し、次に水素を液化(約20K)、さらに減圧し最後にヘリウムを液化するカスケード式だった。
当時は、午前9時過ぎに運転を開始し午後7時頃まで、10時間近くかかってようやく液体ヘリウム10Lが製造できたそうである。
ヘリウム・水素液化装置


ヘリウム・水素液化装置ヘリウム・水素液化装置


1975(昭和50)年3月~1987(昭和62)年3月

CTi : Model-1400
液化能力 : 12L/h

1970年には1トンの液体窒素タンクが設置され、水素を使わない最新のヘリウム液化システムに更新された。これによって、水素を135kg/cm2まで加圧しなければなかなかった最初のヘリウム・水素液化機に比べて、15kg/cm2程度の圧力のヘリウムを使うだけで済み、液化機運転の作業がより安全に行われるようになった。
学内での液体窒素・液体ヘリウムの需要が増加してきたことから、1976年7月に学内措置として低温センターが発足した。

ヘリウム液化機-CTi1400


ヘリウム液化機-CTi1400ヘリウム液化機-CTi1400


1987(昭和62)年3月~2004(平成12)年3月

神戸製鋼所 : HL-30型
液化能力 : 30L/h

HL-30型はレシプロ式ヘリウム液化機で、昭和62年(1987年)3月に設置された。設置後、約18年間にわたって運転を続けてきた。
1997年1月17日の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、幸いにも建屋の倒壊や液化システムの決定的な損壊は起こらなかったが、老朽化を主因と して、たびたび重故障が起こっていた。その都度、長期に及ぶ液体ヘリウムの供給停止を余儀なくされていたため、ヘリウム液化機の更新は旧低温センターに とって最大の懸案事項であった。
2004年4月国立大学法人化に伴い、低温センターから研究基盤センター極低温部門に変更。

ヘリウム液化機-HL30

ヘリウム液化機-HL30ヘリウム液化機-HL30


2004(平成12)年3月~

エア・リキード(Air Liquede) : HELIAL-1000
液化能力
(窒素予冷有) : 60L/h
(窒素予冷無) : 30L/h

フランスのエア・リキード社製。
摺動部をもたないガスベアリング式膨張タービン(静圧式ガスベアリングタービン)。メンテナンスフリー。
自動起動・停止機能。停電、冷却水断水からの復旧後に自動的に再起動する。
液化運転は全自動制御で無人運転が可能。
(HELIALシリーズ製品紹介パンフレットより一部引用)エアリキード社製のタービン式ヘリウム液化機を導入するのは国内の大学では本学が初めてである。

ヘリウム液化機- HELIAL1000


HERIAL1000HERIAL1000HERIAL1000


参考資料 :
神戸大学 低温センター・レポート No.1-No.9
神戸大学学報 No.146「極低温実験室紹介」No169,No.286,No.346「学内共同利用施設だより-低温センター-」
神戸大学百年史
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