ヘリウム液化システム更新及び附帯設備の整備・拡充
平成16年度にヘリウム液化システムの更新及び附帯設備の整備・拡充を行った。
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(写真1)新ヘリウム液化機 | (写真2)旧ヘリウム液化機撤去の様子 |
ヘリウム液化システムの更新
旧液化機(神戸製鋼所製レシプロ式ヘリウム液化機HL-30、液化能力30 L/時)は昭和62年(1987年)3月に設置され、ほぼ18年間に亘って運転を続けてきた。ここ数年は、老朽化に伴う度重なる重故障のため、その都度、長期に及ぶ液体ヘリウムの供給停止を余儀なくされ、ヘリウム液化機の更新は旧低温センターにとって最大の懸案事項であった。
幸いにも平成15年(2003年)末にヘリウム液化システム更新の予算配分の内示があり、以降、ヘリウム液化システム仕様書の策定(平成16年1~2月)、入札、技術審査(同年5月)等を経て、納入業者はジャパンエアガシズ社と決定した(同年5/28)。同社の導入するタービン式ヘリウム液化機Helial-1000(液化能力60 L/時)(写真1)はエアリキード社(フランス)製のものであり、エアリキード社製のタービン式ヘリウム液化機を導入するのは国内の大学では本学が初めてである。
旧液化システムの撤去(同年11/30)(写真2)、液化室建屋の改修工事(同年12月~翌年1月)(写真3)、システム搬入・設置工事・試運転(平成17年2~3月)(写真4)の様子を一部示した。同年3/28には、無事、検収・引き渡しが行われた。表2に今回更新、新設された設備の一覧を示す。
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(写真3)ヘリウム液化室改修工事の様子 | (写真4)バッファータンク搬入の様子 |
表2 ヘリウム液化システム更新・新設機器一覧 | ||
更新・新設設備名 | 新設備能力等 | 備考 |
ヘリウム液化機
Herial-1000;AIR LIQUID社(フランス) |
タービン式
内部精製器付き 液化能力60 L/時 |
旧液化機はレシプロ式(30 L/時) |
液化用圧縮機
DSD241;KAESER社(ドイツ) |
吐出圧力1.4 MPa | |
液体ヘリウム貯槽 | 2000 L | 旧貯槽は500 L |
液体ヘリウム移送管 | 自動充填装置付き | |
回収用圧縮機
C5N210GX;GreenField社(スイス) |
空冷式
吐出流量50 m3/時 |
旧圧縮機三基のうち一基(空冷式;60 m3/時)は継続使用 |
中圧ガスドライヤー | 処理流量60 m3/時
使用圧力2.4 MPa |
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長尺ボンベ | 75 m3×10 本 | 旧設備(75 m3×8 本、75 m3×8 本)は継続使用 |
バッファータンク | 内容積4 m3 | |
冷却水供給装置 | 密閉式低騒音型
冷却水量20 m3/時 |
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回収ガス管理装置 | 共同実験棟内等8系統の回収ガス純度を管理室にて監視 |
ヘリウム液化システム付帯設備の整備・拡充
ヘリウム液化システムの更新に伴い、付帯設備の整備・拡充を行った。特に液体窒素自動充填システムの導入、及び極低温部門?工学部キャンパス間アクセス道路の整備を行った。
液体窒素の供給はこれまでユーザー自身による供給弁の開閉により充填が行われていたが、より安全かつ正確に供給することを目的に液体窒素自動充填システムの導入(ジャパンエアガシズ社)を行った(平成18年2月?3月)(写真5)。システムは制御盤、ロードセル、充填ノズル等からなり、充填量は、充填時に容器に貼付したバーコードの読み取りによって制御盤に予め登録された容器毎の空重量及び最大充填量を呼び出し、重量検知によって制御する。これにより充填時に液体窒素が容器から溢れ出す等の危険性が無くなった。またこれまで充填室には充填口が大容量用、小容量用が一つずつしかなく、しばしば混雑の原因となっていたが、充填室の拡張工事を行い、また同システムを二基導入し、充填口をそれぞれ倍にすることで混雑の緩和を図った。
極低温部門のある文理農キャンパスと工学部キャンパスとの間には階段、もしくは急勾配の通路しか無かったため、両者間での100 kgを超す大きな寒剤運搬容器の移動は不可能であった。そこで今年度は、極低温部門?工学部キャンパス間を緩やかな勾配で結ぶアクセス道路の整備を行った(平成18年1?3月)。これにより工学部、自然科学研究棟三号館等における寒剤利用がより容易になると期待される。
この他、高圧ガス設備の点検機器等、当部門の円滑な運営に必要な物品の更新等を行った。これらより、当部門においてはより安定的に、かつ安全に寒剤の管理、供給が出来る体制が整った。
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(写真5)液体窒素自動充填システム |
連携創造センターからの機器移管に伴う共同実験棟改修工事
連携創造センターで管理されていたいくつかの分析機器が研究基盤センターに移管されることが決定し、極低温部門にも数種の分析機器が設置されることになった。極低温部門内における設置場所は、共同実験棟202号室、203号室とし、設置する分析機器に合わせた大幅な改修工事が行われた(写真6)。
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(写真6) 改修工事の様子。
写真は202号室の床塗りの様子 |